サイト内の用語集
品質(quality)
本来備わっている特性の集まりが,要求事項を満たす程度。
“本来備わっている”とは,“付与された”とは異なり,そのものが存在している限り,もっている特性を意味する。
要求事項(requirement)
明示されている,通常,暗黙のうちに了解されている若しくは義務として要求されている,ニーズ又は期待。
“通常,暗黙のうちに了解されている”とは,対象となる期待が暗黙のうちに了解されていることが,組織,その顧客及びその他の利害関係者にとって慣習又は慣行であることを意味する。
実現能力(capability)
要求事項を満たす製品を実現する組織,システム又はプロセスの能力。
力量(competence)
知識及び技能を適用するための実証された能力。
システム(system)
相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり。
マネジメントシステム(management system)
方針及び目標を定め,その目標を達成するためのシステム。
品質マネジメントシステム(quality management system)
品質に関して組織を指揮し,管理するためのマネジメントシステム。
品質方針(quality policy)
トップマネジメントによって正式に表明された,品質に関する組織の全体的な意図及び方向付け。
一般に品質方針は,組織の総合的な方針と整合しており,品質目標(3.2.5)を設定するための枠組みを提供する。
品質目標(quality objective)
品質ニ関して,追求し,目指すもの。
品質目標は,通常,組織の品質方針に基づいている。
品質目標は,通常,組織内の関係する部門及び階層で規定される。
マネジメント,運営管理,運用管理(management)
組織を指揮し,管理するための調整された活動。
トップマネジメント(top management)
最高位で組織を指揮し,管理する個人又はグループ。
品質マネジメント(quality management)
品質に関して組織を指揮し,管理するための調整された活動。
品質に関する指揮及び管理には,通常,品質方針及び品質目標)の設定,品質計画,品質管理,品質保証及び品質改善が含まれる。
品質計画(quality planning)
品質目標を設定すること,並びにその品質目標を達成するために必要な運用プロセス及び関連する資源を規定することに焦点を合わせた品質マネジメントの一部。
品質管理(quality control)
品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部。
品質保証(quality assurance)
品質要求事項が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた品質マネジメントの一部。
品質改善(quality improvement)
品質要求事項を満たす能力を高めることに焦点を合わせた品質マネジメントの一部。
要求事項は,有効性,効率,トレーサビリティなどの側面に関連し得る。
継続的改善(continual improvement)
要求事項を満たす能力を高めるために繰り返し行われる活動。
有効性(effectiveness)
計画した活動が実行され,計画した結果が達成された程度。
効率(efficiency)
達成された結果と使用された資源との関係。
組織(organization)
責任,権限及び相互関係が取り決められている人々及び施設の集まり。
組織構造(organizational structure)
人々の責任,権限及び相互関係の配置。
組織構造の正式な記述は,品質マニュアル又はプロジェクトに対する品質計画書の中で示されることが多い。
組織構造の範囲には,関連する外部組織(3.3.1)とのインタフェースを含めることがある。
インフラストラクチャー(infrastructure)
組織の運営のために必要な施設,設備及びサービスに関するシステム。
作業環境(work environment)
作業が行われる場の条件の集まり。
条件には,物理的,社会的,心理的及び環境的要因を含む(例えば,温度,表彰制度,人間工学的側面及び大気成分)。
供給者(supplier)
製品を提供する組織又は人。
プロセス(process)
インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。
プロセスのインプットは,通常,他のプロセスからのアウトプットである。
組織内のプロセスは,価値を付加するために,通常,管理された条件のもとで計画され,実行される。
結果として得られる製品の適合が,容易に又は経済的に検証できないプロセスは,“特殊工程”(special process)と呼ばれることが多い。
設計・開発(design and development)
要求事項を,製品,プロセス又はシステムの,規定された特性又は仕様書に変換する一連のプロセス。
手順(procedure)
活動又はプロセスを実行するために規定された方法。
手順は文書にすることもあり,しないこともある。
手順が文書にされた場合は,“書かれた手順”又は“文書化された手順”という用語がよく用いられる。手順を含んだ文書を,“手順書”と呼ぶことがある。
トレーサビリティ(traceability)
考慮の対象となっているものの履歴,適用又は所在を追跡できること。
製品に関しては,トレーサビリティは,次のようなものに関連することがある。
− 材料及び部品の源
− 処理の履歴
− 出荷後の製品の配送及び所在
適合(conformity)
要求事項を満たしていること。
不適合(nonconformity)
要求事項を満たしていないこと。
欠陥(defect)
意図された用途又は規定された用途に関連する要求事項を満たしていないこと。
欠陥と不適合という概念の区別は,特に製品の製造物責任問題に関連している場合には,法的意味をもつので重要である。したがって,“欠陥”という用語は特段の注意を払って使用することが望ましい。
予防処置(preventive action)
起こり得る不適合又はその他の望ましくない起こり得る状況の原因を除去するための処置。
起こり得る不適合の原因は,一つ以上のことがあり得る。
是正処置は再発を防止するためにとるのに対し,予防処置は発生を未然に防止するためにとる。
是正処置(corrective action)
検出された不適合又はその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置。
不適合の原因は,一つ以上のことがあり得る。
予防処置は発生を未然に防止するためにとるのに対し,是正処置は再発を防止するためにとる。
修正(correction)
検出された不適合を除去するための処置。
是正処置と併せて,修正が行われることもある。
修正として,例えば,手直し又は再格付けがある。
手直し(rework)
要求事項に適合させるための,不適合製品にとる処置。
手直しと異なり,修理は,不適合製品の部分に影響を及ぼす,又は部分を変更することがある。
修理(repair)
意図された用途に対して受入れ可能とするための,不適合製品にとる処置。
修理には,以前は適合していた製品を使用できるように元に戻す,例えば,保守の一環として,修復するためにとる処置を含む。
手直しと異なり,修理は不適合製品の部分に影響を及ぼす,又は部分を変更することがある。
情報(information)
意味のあるデータ。
文書(document)
情報及びそれを保持する媒体。
記録,仕様書,手順書,図面,報告書,規格。
仕様書(specification)
要求事項を記述した文書。
仕様書には,活動に関するもの(例 手順書,プロセス仕様書及び試験仕様書)又は製品に関するもの(例 製品仕様書,性能仕様書及び図面)があり得る。
品質マニュアル(quality manual)
組織の品質マネジメントシステムを規定する文書。
品質計画書(quality plan)
個別のプロジェクト,製品,プロセス又は契約に対して,どの手順及びどの関連する資源が,誰によって,いつ適用されるかを規定する文書。
通常,これらの手順には,品質マネジメントのプロセス及び製品実現のプロセスに関連するものが含まれる。
品質計画書は,品質マニュアル又は手順書を引用することが多い。
品質計画書は,通常,品質計画の結果の一つである。
記録(record)
達成した結果を記述した,又は実施した活動の証拠を提供する文書。
客観的証拠(objective evidence)
あるものの存在又は真実を裏付けるデータ。
客観的証拠は,観察,測定,試験,又はその他の手段によって得られることがある。
検査(inspection)
必要に応じて測定,試験又はゲージ合せを伴う,観察及び判定による適合性評価。(ISO/IEC Guide 2)
試験(test)
手順に従って特性を明確にすること。
検証(verification)
客観的証拠を提示することによって,規定要求事項が満たされていることを確認すること。
“検証済み”という用語は,検証が済んでいる状態を示すために用いられる。確認には,次のような活動があり得る。
− 別法によって計算を実施する
− 新しい設計仕様書を類似の証明済みの設計
− 仕様書(3.7.3)と比較する。
− 試験及び実証を行う。
− 発行前に文書をレビューする。
妥当性確認(validation)
客観的証拠を提示することによって,特定の意図された用途又は適用に関する要求事項が満たされていることを確認すること。
“妥当性確認済み”という用語は,妥当性確認が済んでいる状態を示すために用いられる。
妥当性確認のための使用条件は,実環境でも模擬でもよい。
レビュー(review)
設定された目標を達成するための検討対象の適切性,妥当性,及び有効性を判定するために行われる活動。
レビューには,効率の判定を含むこともある。
監査(audit)
監査基準が満たされている程度を判定するために,監査証拠を収集し,それを客観的に評価するための体系的で,独立し,文書化されたプロセス。
内部監査は,第一者監査と呼ばれることもあり,マネジメントレビュー及びその他の内部目的のために,その組織自体又は代理人によって行われ,その組織の適合を宣言するための基礎としてもよい。多くの場合,特に中小規模の組織の場合は,独立性は,監査の対象となる活動に関する責任を負っていないことで実証することができる。
外部監査には,一般的に第二者監査及び第三者監査と呼ばれるものが含まれる。第二者監査は,顧客など,その組織の利害関係者又はその代理人によって行われる。第三者監査は,JIS Q 9001 又は JIS Q 14001 への適合を審査登録又は認証する機関のような,外部の独立した監査機関によって行われる。
監査プログラム(audit program)
特定の目的に向けた,決められた期間内で実行するように計画された一連の監査。
監査プログラムは,監査を計画し,手配し,実施するのに必要な活動のすべてを含む。
監査基準(audit criteria)
一連の方針,手順又は要求事項。
監査基準は,監査証拠と比較する基準として用いる。
監査証拠(audit evidence)
監査基準に関連し,かつ,検証できる,記録,事実の記述又はその他の情報。
監査証拠は定性的又は定量的なものがあり得る。
監査所見(audit findings)
収集された監査証拠を,監査基準に対して評価した結果。
所見には,監査基準に対する適合も不適合も示すことができる。また改善の機会も示し得る。
監査結論(audit conclusion)
監査目的とすべての監査所見を考慮したうえで,監査チームが出した監査の結論。
監査依頼者(audit client)
監査を要請する組織又は人。
監査依頼人は,被監査者であってもよく,又は規制上若しくは契約上監査を要請する権利をもつ他の組織であってもよい。
被監査者(auditee)
監査される組織。
監査員(auditor)
監査を行うための,実証された個人的特質及び力量をもった人。
監査チーム(audit team)
監査を行う一人以上の監査員。必要な場合は,技術専門家による支援を受ける。
監査計画(audit plan)
監査のための活動及び手配事項を示すもの。
監査範囲(audit scope)
監査の及ぶ領域及び境界。
監査範囲は,一般に,場所,組織単位,活動,プロセス及び監査の対象となる期間を示すものを含む。
力量(competence)
実証された個人的特質,並びに知識及び技能を適用するための実証された能力。
計測マネジメントシステム(measurement management system)
計量確認及び測定プロセスの継続的な管理を達成するために必要な,相互に関連する及び相互に作用する一連の要素。
測定プロセス(measurement process)
ある量の値を決定する一連の操作。
計量確認(metrological confirmation)
測定機器が意図された用途に関する要求事項に適合していることを確実にするために要求される一連の操作。
計量確認は,通常,校正又は検証,必要な調整若しくは修理及びその後の再校正,装置の意図された用途に関する計量要求事項との比較,更に要求される封印及びラベル表示を含む。
意図された用途に対して測定機器が適していることが実証され,文書化されるまでは,また,これらのことが実施されない限り,計量確認は達成されない。
意図された用途に関する要求事項には,測定範囲,分解能,最大許容誤差などの考慮事項を含む。
計量要求事項は,通常,製品要求事項とは別のものであり,また,その中には規定されない。
測定機器(measuring equipment)
測定プロセスの実現に必要な,計器,ソフトウェア,測定標準,標準物質又は補助装置若しくはそれらの組合せ。
計量特性(metrological characteristic)
測定結果に影響を与え得るもので,そのものを識別するための性質。
通常,測定機器は,幾つかの計量特性をもっている。計量特性は,校正の対象となることがある。
計量機能(metrological function)
計測マネジメントシステムの定義及び実施に関する管理並びに技術的責任をもつ機能。
リスク(risk)
目的に対する不確かさの影響。
影響とは,期待されていることから,好ましい方向及び/又は好ましくない方向にかい乖離することをいう。
目的は,例えば,財務,安全衛生,環境に関する到達目標など,異なった側面があり,戦略,組織全体,プロジェクト,製品,プロセスなど,異なったレベルで設定されることがある。
リスクは,起こり得る事象,結果又はこれらの組合せについて述べることによって,その特徴を記述することが多い。
リスクは,ある事象(周辺状況の変化を含む。)の結果とその発生の起こりやすさとの組合せとして表現されることが多い。
不確かさとは,事象,その結果又はその起こりやすさに関する,情報,理解若しくは知識が,たとえ部分的にでも欠落している状態をいう。
リスクマネジメント(risk management)
リスクについて,組織を指揮統制するための調整された活動。
リスクマネジメントの枠組み(risk management framework)
組織全体にわたって,リスクマネジメントの設計,実践,モニタリング,レビュー,継続的改善の基盤及び組織内の取決めを提供する構成要素の集合体。
基盤には,リスクを運用管理するための方針,目的,指令,コミットメントなどが含まれる。
組織内の取決めには,計画,相互関係,アカウンタビリティ,資源,プロセス,活動などが含まれる。
リスク基準(risk criteria)
リスクの重大性を評価するための目安とする条件。
リスク基準は,組織の目的並びに外部状況及び内部状況に基づいたものである。
リスク基準は,規格,法律,方針及びその他の要求事項から導き出されることがある。
リスク源(risk source)
それ自体又はほかとの組合せによって,リスクを生じさせる力を本来潜在的にもっている要素。
リスク源は,有形の場合も無形の場合もある。
ハザード(hazard)
潜在的な危害の源。
ハザードは,リスク源となることがある。
管理策(control)
リスクを修正する対策。
管理策には,リスクを修正するためのあらゆるプロセス,方針,仕掛け,実務及びその他の処置を含む。
管理策が,常に意図又は想定した修正効果を発揮するとは限らない。