GxP/QMSのための微生物学/管理の基礎トレーニング②
~環境検出微生物の分類同定/検索/メタデータベースの利用/傾向解析~

ご参加の皆様へ

◆ 講師あとがき

今回は「微生物学/管理の基礎トレーニング②」にご参加いただき有難うございました。
講師を担当しましたキアマネジメントの小山です。

本講座は、生物分類学の基礎を学び、検出微生物について考察するため具体的手法(表現型/遺伝型)、メタデータベースの利用と傾向解析アプローチなどを中心にまとめた内容でありました。

分類同定の基本スキームは「分類学の歴史」と共に更新され続けています。
・表現型は旧来から積み上げられてきた分類体系をトレースする形の試験項目がベース
・遺伝型は3ドメイン説による塩基配列の類縁性/相同性がベース

どちらの重要性もまとめさせて頂きましたが、特にCCSなどの微生物管理直結するアプローチの場合は「学名を元にした同定」そのもの意味合いが重要性を持たない場合もあるため注意してください。
(この部分の考え方は様々な角度で複数回講座内で出てきたかと思います)

分離された微生物は「Strain:株」の単位です。
一方で特に遺伝子をベースとした同定は配列データベースとの相同性から「最も近い種」を引き出しているに過ぎません。
16S rRAN遺伝子はフルで解析すると約1500bp、種の同定でこの領域を使用する場合は最近縁種と99.8%以上(3塩基違い以内)+表現型の考察が望ましいとされます。

「学名上の種名が判明」したとしても、その生理活性が把握できるわけではありません。
例えば…腸管出血性大腸菌 O-157は大腸菌 Escherichia coli という「種」の中で、ベロ毒素を生産する「株」を指します。「種レベル」の考察を深堀りしても「株」の情報は得られません。

GxP/QMSの分野では
 ・何のために「分類と同定」を実施するのか
 ・どの様な考察をするためにどこまで「分類と同定」を実施するのか
という部分が曖昧なまま自社内の試験系が構築され、場合により外部委託分析を行うという事例を多く拝見します。

今回の学びを活かし「検出微生物について、どのような情報を引き出し、考察を行い、管理へ繋げていくか」という部分を考える機会を作っていただけますと幸いです。


皆様、新しい気付きや問題提起はありましたか?
自らの職務と連動して、今出来ていること/今後必要なことなど、ぜひまとめてみてください。

◆ トレーニング②後に受講を推奨する講座

バイオバーデンや環境モニタリングプログラムの設計/構築/バリデーションなどの考え方の整理には、
・47回 トレーニング③~バイオバーデンの理解とモニタリングプログラム構築~

また、微生物管理を具体的な活動へと転換するにあたりCCSの概念を利用する場合、微生物管理担当者の職務を明確にするためには本年度からの新設講座、
・48回 汚染管理戦略CCSの基礎とMicrobiologist(微生物管理担当者)が担うべき責任と役割

の受講をお勧めします。

※:各講座名のリンク先パスワードは
私たちからのご連絡メール末尾に記載があります「KEA*******」にて閲覧可能です

 

アンケートにてフォローアップご希望とご記入頂きました者様には、お近くお伺いの際に改めてご連絡させて頂くことがございます。
お時間のご調整が付くようでありましたら、是非セミナーのご感想やご意見、微生物管理に対する疑問や悩みなどお聞かせいただけますと大変有難く思います。

2024.10.04
KEA management 小山