18年7月23日付けにて「ISO認証機関の不正」の記事が一部新聞の一面にあげられました。
関連のお問合せを数件頂きましたため、記事としてまとめます。

英国の認証機関LRQAによるJISQ9100(航空宇宙産業に特化した品質マネジメントシステム)の監査時に複数の問題が認められた。内容は以下、
 ・監査員の経歴が不十分/無資格であった
 ・監査員が所定の訓練を受けていない人物を含んでいた
 ・監査員のレポートのチェック工程が省略されていた

LRQAは一連の手続きが不十分な状態において、認証文書を発行しており、管理者も黙認していた。
JAB(日本適合性認定協会)は、7月12日付けにてLRQAの認証機関としての取り消しを決定。しかし審査業務そのもののを停止させる強制力はない。
なお、LRQAは昨年の神戸製鋼品質偽装問題について、三重県の大安工場に対してJIS及びISOの認証を一時停止する処分を出していた機関である。

 

と報告されています。
ISO 17021:適合性評価-マネジメントシステムの審査及び認証 を行う機関に対する要求事項では、監査者が依頼者との利害関係を持つことを禁止しています。
一方、認証機関にとって取得企業との関連性は「審査対象」であると同時に「売上をもたらす顧客」であるという相反する要素を含んでいます。このため一部では「次回も私を監査員として指定してほしい」という要望が挙げられたり、毎年同メンバーによる「監査のマンネリ化」を見受ける現場も存在します。

特に化粧品産業におけるISO 22716などの「認定機関を伴わないプライベート認証」の場合、認証機関からの定期監査と対応自体がISO活動の目的として置き換わる事例が多いため注意が必要です。
(ISO 22716内には認定機関そのものや、認定機関から派遣される監査員の力量を定義する項目は含まれておりません)

監査員そのものの力量確認、監査員との関係性については、ISO事務局とトップマネジメントが適切に認識しておくことに注意しなければなりません。また、認証機関への要望を出すことをシステムの中に組み込んでおくことが重要です。

「認定期間⇔認証機関⇔取得企業(依頼者)」の関連性につきましては、過去こちらのページにまとめてあります。