環境微生物管理に関するバリデーション

製造エリア内において微生物を管理下に置き続けるためには、複数部門間による総合的な活動が必要になります。汚染状況を客観的に評価するため主に品質管理部門により行われる「環境微生物モニタリング」。衛生度の回復の目的として主に製造部門により行われる「清浄化と消毒」。いずれも微生物管理を対象とした業務でありますが、それのみでは部門内単体行為にすぎません。

本講座は、製造エリア内において微生物が管理されている状況をバリデートすることを目的とした専門コースになります。環境微生物管理に必要となる全体像を捕らえ、各因子において管理状況をバリデーションするために必要となる要素/考察アプローチをまとめます。製造エリア内において微生物管理状況の証明、設備初期立ち上げ時の微生物管理システム構築などに最適の内容になっております。

なお、ご参加には別途コースにある「微生物管理の基礎」修了者、又は同等の力量(微生物の基礎的内容のご理解がある方)を推奨します。品質管理部門など日常的に微生物管理業務に関連するご職務の方、衛生管理責任者、管理状況を外部視点からチェックする品質保証/監査部門ご担当者などを主対象としたコースになります。

開催 : 2016年9月6日(火) 受付は13:10~(3Fオフィスエントランス)
会場 : 東京駅サピアタワー 9F 関西大学 東京センター 会議室
参加費 : セミナー \ 20,000- (本講座は早割引適応外になります)
お申込み : ホームページ専用フォームhttps://www.kea-mgt.com/semientry/

コース セミナー 時間
専門 環境微生物管理に関するバリデーション 13:30

16:30
  -1. 環境微生物管理の基本アプローチ
  -2. 環境のバイオバーデン
  -3. 清浄化と消毒のバリデーション
  -4. 環境モニタリングの設計とデータの傾向解析
まとめ 環境微生物管理のバリデーション

<セッション詳細>

-1. 環境微生物管理の基本アプローチ

GMP省令においてバリデーションは以下のように定義されます。

「この省令で「バリデーション」とは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法(以下「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいう」(原文抜粋)

一方で、各ガイドラインでは環境微生物管理に関するバリデーションを焦点にした項立ては無いため、関連性を認識/活動へ活かす機会は多くありません。環境微生物管理の実現は、製造部門、品質管理部門、その他関連部門における多角的視点と総合的な活動が必要になります。必要となる基本要素、考え方についてまとめます。

-2. 環境バイオバーデン

バイオバーデン(Bioburden)は、対象に存在する総微生物数及び種類を指します。環境面を対象とした通常の微生物モニタリングは、特定条件による検出結果であるため総微生物数や種類を把握するためには不向きな手法です。定期的に環境のバイオバーデンを測定することにより、そこに存在する菌叢、特定微生物の存在、通常モニタリングポイントの妥当性、管理状況の問題点などを抽出することが可能です。比較的測定規模が大きくなる項目ではありますが、微生物管理のバリデーションへ向けて重要な視点になります。環境バイオバーデンの設計、他項目との考察方法などをまとめます。

-3. 清浄化と消毒のバリデーション

清浄化と消毒は環境面から微生物を除去するための唯一直接的な方法です。特に無菌医薬品製造や充填エリア及び付随エリアなど高い微生物管理が要求される空間では、適切な資材/適切な薬剤/適切な教育を受けた人員により/適切な手技手法の作業を行うことが求められます。
作業そのものは多くの現場で実施されておりますが、その効果をそれぞれの工程で検証する機会は稀です。清浄化と消毒の一連プロセスを微生物制御と関連付けて考え、バリデートする要素についてまとめます。

-4. 環境モニタリングの設計とデータの傾向解析

環境モニタリングは、対象区域が要求される基準値を満たすことを確認するために、通常は微粒子と微生物を対象として行われます。
慣例的に行われる現場も見られますが、本来環境微生物モニタリングは対象/項目/頻度/基準を組み合わせたプログラムとして構築することが望ましく、立ち上げ時には設計が必要になります。また積算されるデータは傾向解析を継続的に行うことで、清浄化及び消毒の有効性の確認、通常と異なる検出傾向を早期に捕らえるために利用することが可能になります。
環境微生物モニタリングの設計とデータの有効利用についてまとめます。

まとめ:環境微生物管理のバリデーション

本日セッションの相関性理解を再度深め、環境微生物管理のバリデーション視点からまとめます。